ヒトの営みとして芸術を捉えたとき二つの疑問が生じた。すなわち、ヒト以外の行為を芸術として捉えることは可能なのか。ヒト以外の下した解釈は芸術を規定しうるか。
そのための対象としてショウジョウバエを使った。彼らはモデル生物として優れた特性を持ち、遺伝子的解析の分野でも大きな成果を果たした。
geneからmemeへの変換。
それが「痕跡ーショウジョウバエ」「模倣ーショウジョウバエ」「虚構化器官Ⅰ」からなる一連の作品である。
まず、ショウジョウバエの餌に絵具を混ぜ、足跡から行動を記録した。そして、そのショウジョウバエの動きを追体験するため模写を行う。最後に、打たれた点の位置から映像と音を作るプログラムを用意した。
また、作品とは作者の記憶を鑑賞者の知覚に置き換える装置であるとする。
であるならば、展示空間を脳とし、視覚から得た感覚記憶をそのまま提示できないか。そのような意図の作品が「虚構化器官Ⅱ」である。脳神経の活動をデジタルなものとして記憶をピクセルで表示した。そして、ピクセルやセルオートマトンといったデジタルの表示と、箔や若冲の桝目描きの類似性を持って、脳、デジタル、日本美術の新たな関連性を考えたい。
「痕跡ーショウジョウバエ」
板に和紙、石膏地、透明水彩、墨、桐、製本テープ
「模倣ーショウジョウバエ」
板に和紙、石膏地、透明水彩、墨、桐、製本テープ
「虚構化器官Ⅰ」
映像インスタレーション
「虚構化器官Ⅱ」
映像インスタレーション