ハンガーの誕生から150余年。

今やどの家庭にも必ずや1本はあり、日々の生活になくてはならないものとなりました。
お気に入りの服を掛ける。洗濯物を干す。
それだけのことかと思われるかもしれませんが、日々の生活において、重要な面積を占めております。
にも関わらず、その存在が重要視されることはなく、日の目をみることもないまま、今日まで至っております。

現在は安価で大量生産できることからプラスチックのものが多く流通しておりますが、
一昔前までは木製のものが主流でした。

他国や他の素材のハンガーも含め、そこには柳宗悦が説いた、「用の美」がありました。

しかし、コストパフォーマンスを重視し、手間暇を惜しんだ結果、そこから「味わい」という魅力は姿を消してしまいました。

本展は、そんな縁の下の力持ちであるハンガーの存在と、その魅力を知っていただきたいとの想いから開催させていただくものとなります。

また、古道具としての一面を持つブロカントハンガーから、他の古道具へも興味関心を引くことができれば幸いです。

※ブロカント[brocante]とは、フランス語で「古道具、古道具市」を意味する言葉。
美しいガラクタという言葉が語源。

安田　嗣